「どんなときも。安全運航」
~遠く遠くはなれていても 船のことがわかるように~
美須賀海運株式会社
■海務監督 船舶管理部 第三フリート
■2012年入社
■国立・海洋工学部 卒
■高石 楽Takaishi Gaku
当社は他社船主の所有する船の管理を主として、合計100隻以上の外航船の船舶管理業務を行っています。
外航船の世界というのは関わる人や会社が多く少し複雑な構造になっており、その中で本船・船員に一番近い距離で接する仕事です。船舶管理というのは、その船を常に安全に走れる状態に保持するという業務であり、それを行うには船に対する専門的知識はもちろん、船の現場を理解し、定められた規則を理解し、顧客である船主さんの要望をくみ取ったうえで対応しなければなりません。
私の業務はそのなかで、外航船を取り巻く国際条約の遵守に向けた対応、航海に必要な海図の手配、適正な積荷プランの確認と貨物の適合性(規則に照らし合わせて問題ないか、契約上問題ないか、など)の照合、気象情報の収集と本船位置の確認、などが具体的に挙げられるところです。
実際に管理している船を訪ねる(訪船といいます)際には、船員さんとの打ち合わせ、現場の機器や船体状況・故障個所の確認、他船トラブル情報の展開や注意喚起、その船の懸案事項の話し合い、などが業務になります。
顧客である船主さんの信頼を得られたとき、外国人船員さんと一緒に本船のトラブルや難局を乗り越えたとき。
というのが一言での回答になりますが、最終的なゴールは円滑な安全運航です。”No News is Good News”ではないですが、「何も起こらないのが一番の状態」であるという点で、派手でわかりやすい結果というのはこの仕事では見つけにくいかもしれません。
ただし、外航船の運航には不可欠であることもまた事実で、管理業務なしに安全運航というのは存在しません。事故やトラブルというのは、ゼロを目標にしてはいますが、現実的にどうしても起きてしまいます。すべての人間が事故もケガも失敗もなく一生を終えることがないのと一緒です。その中で、防げるものを防ぎ、できる限りダメージを最小化し、より早い復旧へと努めるのが船舶管理だと思っています。
人種や国境を越えた仕事、世界を相手にする重要な仕事、巨額の費用や人命という大きなものを扱う仕事である手前、プレッシャーも大きいですが、その分やりがいも大きいのは間違いありません。コインの表裏と同じで、表が大きいコインは裏面も大きいのです。プレッシャーという大きな表面の裏には、必ずややりがいという大きな裏面があると思っています。
私が就職活動の年、東日本大震災が起こりました。それにより、各社の面接試験などのスケジュールが大幅にずれ、採用人数も激減するなど様々な影響がありました。私自身もその影響を受けて他の会社から不採用が多く、最後に受験したのが当社でした。ただ私自身、船舶管理というものを大して知らない状態で入社したので、学生時代からこの業務内容を知っていたわけではなく、今の自分にこの仕事がフィットしているのは単なる幸運です。
これから就職活動を行う方で、当社に興味がある方には、私は会社説明会のときに船舶管理というものをできる限りわかりやすく説明をさせてもらっています。この船舶管理会社という少し複雑な仕事を、「いったい何のために存在しているのか?」「そもそも外航船に関わる会社の相関関係はどうなっているのか?」「そのなかで当社はどのようなポジションにあって、具体的にどのような仕事をしているのか?」など、少しでも理解を広げてもらい、業務内容に納得したうえで就職先を選んでもらえば、就活されている方本人と当社双方にとってベストと考えています。そのうえで、この仕事に興味と希望をもって最終的に当社を選び入社してくれるのであれば、私としてはこの上ない喜びです。